忠臣蔵外伝伊予之巻17

 

















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【補足説明】
現在でこそ「切腹=死刑」、と重い刑罰の気がしますが、
この時代、切腹は武士としての面目を保てる為、さほど重罰でもなかったようです。
実際、大石内蔵助は切腹を「結構な沙汰」と言ってます。
「斬首」「さらし首」「磔」などが大罪人への刑罰です。

赤穂浪士は浅野を切腹処分にした幕命に異論を唱えた事になるので、
幕府
(というか徳川綱吉)は面子を守るため厳しく処罰するつもりだったようですが、
世論を気にして比較的軽い刑にしたようです。

世間は切腹でも重いと非難轟々でしたけど。

●「幕府も本当は助けようとしたんですよー!陰からあだ討ちが成功するように手助けした老中などもいたくらいですから。でも、面子もあったので、その頃江戸に来ていた法親王に伺いをたてて「何とか助命の勅命をだして欲しい」と将軍自らが願い出ているんです!でも、それを「それはどうだろう」と蹴られたんです…」

●「赤穂浪人の話で義士達を助けた老中というのは岩槻藩
(現在の埼玉の一部)ではないでしょうか。法親王の名前は思い出せませんでしたが、確か、「この度の件で美化されたイメージで生きなければならないのは本人たちにとってあまりに重いだろうし、今後生きていくのは生かして美談が損なわれる(かもしれない)よりは…」ということを言われて、朝廷からの助命命令を断られた、という話だったと思います。ただ、史実であったか小説での話であったかは調べ切れませんでしたが…」

●「赤穂浪士の判決について意見を述べたのは「公弁法親王」、当時在位していた東山天皇の弟だそうです。出典が「徳川実紀」なので、史実と見てよいかと思います。」


●「赤穂浪士の処分は、元禄15年12月23日老中列座のもとで定奉行ほか各奉行に大目付が加わる最高司法機関である評定所の会議が開かれました。

赤穂浪士の処分は、大老格としてして幕政を主導していた「柳沢吉保」は綱吉に迎合して死罪にするつもりでした。

しかし、「林鳳岡」、「室鳩巣」、「浅見絅斎」などが「武家諸法度の第一条には文武忠孝を励ますべしと明記してある。赤穂浪士はこれを実行したのであり、集団行動をとったからといって徒党を組んだとはいえない。「浪士一同はお預けのまま差し置き、後日、落着を仰せ付けられるべきかと存じます」と「賛美助命論」を主張しました。

これに苦慮した柳沢吉保に、「荻生 徂徠」が、「義は自分を正しく律するための道であり、法は天下を正しく治めるための基準である。礼に基づいて心を調節し、義に基づいて行動を決定する。今、赤穂浪士が主君のために復讐するのは、武士としての恥を知るものである。それは自分を正しく律するやり方であり、それ自体は義に適うものである。だが、それは彼らのみに限られたこと、つまり私の論理にすぎない。そもそも浅野長矩は殿中をも憚らず刃傷に及んで処罰されたのに、これを赤穂浪士は吉良義央を仇として幕府の許可も得ずに騒動を起こしたのは、法として許せぬことである。今、赤穂浪士の罪を明らかにし、武士の礼でもって切腹に処せられれば、彼らも本懐であろうし、実父を討たれたのに手出しすることを止められた上杉家の願いも満たされようし、また、忠義を軽視してはならないという道理も立つ。これこそが公正な政道というものである」と「私義切腹論」を主張し、荻生徂徠の意見が柳沢吉保によって将軍綱吉に上げられ、義士派の意見が封じ込められて全員の切腹が決まりました。

歴代将軍在任時の出来事を日付順にまとめた「徳川実紀」には本編と、その将軍にまつわる逸話を集めた附録があり。附録には、法親王は綱吉の問いには何も答えずに帰った、と記されており。二つの逸話が伝聞として記述されているため、実話とは断定できないとも云われております。

当時、大老格としてして幕政を主導していた柳沢吉保に反対意見を唱える老中は存在せず、幕府が赤穂浪士を助けようとしたという云われは、幕府への批判を少しでも避けようとしたからという可能性が高いです。
 
「徳川実紀」では、将軍綱吉は公辨法親王との雑談の中で、赤穂浪士の処断に苦慮していることを話し、できれば公辨法親王から助命があったということにして、皇族からの要請であるという形の赦免であるならば将軍権力にも傷が入らないということを期待していた。

しかし、公辨法親王は「本懐を遂げた浪士を生き永らえさせて世俗の塵に汚すよりも、切腹させることによって尽忠の志を後世に残すべきである」と答え、この言葉を聞いた将軍綱吉は赤穂浪士を切腹とすることに決めた。と書かれております。

でも、徳川実紀の附録には、公辨法親王は将軍綱吉の言葉に、ただ黙ってうなずくだけであった。という記載もされていますので、幕府の不評を避けようとして記載した疑いもあります。 」



などの情報頂きました、ありがとうございますv


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